中国戦国時代の武将。滅び行く中山国で忠義を尽くすも亡国の憂き目にあう。しかし、流浪の将であった楽毅を燕の昭王に破格の待遇で迎え、楽毅もその期待に応え小国の燕で大国の斉を滅亡寸前まで追い込んでいく。
三国志の諸葛亮が尊敬した人物であり、諸葛亮が劉備に「息子が暗愚であれば、諸葛亮に蜀を継いで欲しい」と遺言されたように、楽毅も占領した斉の王に昭王から推戴される。楽毅も諸葛亮も固辞して受けなかったが、諸葛亮は蜀を託されるのではなく、楽毅と同様に大国である魏を滅ぼし魏の王に推戴されるのを固辞する姿を理想としていたかも知れませんね。
あと、前半は中山国を滅ぼした趙の武霊王を中心に話が進み楽毅はやや影が薄くなる部分もありますが、あまりスポットライトが当たることのない武霊王を重点的に描かれていてなかなか面白かったです。
2013年6月11日火曜日
2013年5月9日木曜日
2013年4月19日金曜日
「香乱記」 宮城谷昌光 著
「香乱記」 宮城谷昌光 著
戦国の六国が滅ぼされた秦の時代、旧斉の王族の流れを汲む田横が主人公。始皇帝死後の動乱の中、再興した斉の将軍として王を支え、動乱を勝ち抜いた項羽と劉邦といった勢力に簡単には迎合せず、小さい勢力ながら義のある国家を目指し奮闘していくというのが本筋です。
率直な感想としては田横という人物と斉という国家のあり方というのは理想として理解はできるのですが、あまりにも出来過ぎた人格・能力のため、返って現実感に乏しく歴史上の人物というより空想上の国の人物のような印象をもってしまいます。歴史上の注目されていない人物に脚光を当てるのは、今までと違う視点で眺めることができ、歴史の見方が2次元から3次元に広がるような自分の中でその時代に深みを持たせることができるので基本的には好きなのですが、現実感に乏しい主人公の印象で歴史観もぼやけてしまい面白さも半減です。話しも全体的に間延びした印象もあり、ちょっと残念な作品でした。
戦国の六国が滅ぼされた秦の時代、旧斉の王族の流れを汲む田横が主人公。始皇帝死後の動乱の中、再興した斉の将軍として王を支え、動乱を勝ち抜いた項羽と劉邦といった勢力に簡単には迎合せず、小さい勢力ながら義のある国家を目指し奮闘していくというのが本筋です。
率直な感想としては田横という人物と斉という国家のあり方というのは理想として理解はできるのですが、あまりにも出来過ぎた人格・能力のため、返って現実感に乏しく歴史上の人物というより空想上の国の人物のような印象をもってしまいます。歴史上の注目されていない人物に脚光を当てるのは、今までと違う視点で眺めることができ、歴史の見方が2次元から3次元に広がるような自分の中でその時代に深みを持たせることができるので基本的には好きなのですが、現実感に乏しい主人公の印象で歴史観もぼやけてしまい面白さも半減です。話しも全体的に間延びした印象もあり、ちょっと残念な作品でした。
2013年3月21日木曜日
「晏子」 宮城谷昌光 著
「晏子」 宮城谷昌光 著
春秋時代に斉の宰相となり晏子と尊称された晏嬰とその父 晏弱の2代にわたる物語で、前半は晏弱中心で、後半が晏嬰の話です。
父晏弱の時代に晏氏の勢力が微小で子の晏嬰が宰相になれること自体が不思議でしたが、最後まで読んでみると納得できました。晏嬰が宰相になり得たのは、まず民、社稷を第一に考え私心なく行動するという信念を身の危険を顧みず貫き通したことで人々の信頼・尊敬を得たことが大きいとは思います。ただ、春秋末期という時代背景も見逃せません。春秋末期は、君主の権威(神秘性)が低下し臣下の権力が増していく途上であり、晏嬰が使えた3人の君主たちも臣下の力を抑えることに四苦八苦していました。君主にとっては晏嬰も例外ではなく辛辣な諫言をされた場合にも感情で晏嬰を罰することができなたったのは絶対的な権力者ではなくなっている証でもあり、最終的に宰相に抜擢したのも人々に人気があり野心の少ない晏嬰を宰相にすることで保身を図る意味も大きかったと思います。「晏子」ではその辺の時代の空気も読み取れるので春秋時代を知るという意味でも興味深く楽しめました。
春秋時代に斉の宰相となり晏子と尊称された晏嬰とその父 晏弱の2代にわたる物語で、前半は晏弱中心で、後半が晏嬰の話です。
父晏弱の時代に晏氏の勢力が微小で子の晏嬰が宰相になれること自体が不思議でしたが、最後まで読んでみると納得できました。晏嬰が宰相になり得たのは、まず民、社稷を第一に考え私心なく行動するという信念を身の危険を顧みず貫き通したことで人々の信頼・尊敬を得たことが大きいとは思います。ただ、春秋末期という時代背景も見逃せません。春秋末期は、君主の権威(神秘性)が低下し臣下の権力が増していく途上であり、晏嬰が使えた3人の君主たちも臣下の力を抑えることに四苦八苦していました。君主にとっては晏嬰も例外ではなく辛辣な諫言をされた場合にも感情で晏嬰を罰することができなたったのは絶対的な権力者ではなくなっている証でもあり、最終的に宰相に抜擢したのも人々に人気があり野心の少ない晏嬰を宰相にすることで保身を図る意味も大きかったと思います。「晏子」ではその辺の時代の空気も読み取れるので春秋時代を知るという意味でも興味深く楽しめました。
2013年3月1日金曜日
「風林火山」 井上靖 著
「風林火山」 井上靖 著
戦国武将 武田信玄の軍師として活躍した山本勘助を主人公とした物語。基本的には武田信玄に仕官して川中島決戦までを描いています。NHK大河ドラマの原作でもあります。
もともと山本勘助という人物の実在自体が疑問視されており、実在したとしてもほとんどのエピソードが伝説の類でしかありません。ただ、本作ではそのことを逆手にとって自由な山本勘助像、エピソードを作り出しています。自由といっても武田信玄をはじめとする歴史的事象に関しては忠実に描いており、軍略的な駆け引き描写もされています。ただ、やはり話の中心は勘助と由布姫であり、 勘助の由布姫への愛情・恋心がひときわ純粋に見えて軍師を主人公にしているとは思えない清清しいストーリーが印象的です。
戦国武将 武田信玄の軍師として活躍した山本勘助を主人公とした物語。基本的には武田信玄に仕官して川中島決戦までを描いています。NHK大河ドラマの原作でもあります。
もともと山本勘助という人物の実在自体が疑問視されており、実在したとしてもほとんどのエピソードが伝説の類でしかありません。ただ、本作ではそのことを逆手にとって自由な山本勘助像、エピソードを作り出しています。自由といっても武田信玄をはじめとする歴史的事象に関しては忠実に描いており、軍略的な駆け引き描写もされています。ただ、やはり話の中心は勘助と由布姫であり、 勘助の由布姫への愛情・恋心がひときわ純粋に見えて軍師を主人公にしているとは思えない清清しいストーリーが印象的です。
2013年2月23日土曜日
「楚漢名臣列伝」 宮城谷昌光 著
「楚漢名臣列伝」 宮城谷昌光 著
秦末からの楚漢戦争に活躍した人物を取り上げた短編集です。それぞれバラバラに人物を紹介しているようで、1冊を前から順番に読んでいくと秦の滅亡から漢が興り基礎を固めるまでの大枠が理解できるよう書かれています。ただ、項羽と劉邦に関する知識もなく読むのは少し難しいかもしれません。
特に楚漢の両陣営に属していない人物というのはあまり取り上げられないばかりか、歴史の事実は勝者側からの視点で書かれた書物が圧倒的に多く、敗者視点の事跡は歪められたり小さく描かれ埋没していしまいます。ただ、陳余や田横の人物伝を読むと、事跡の断片から時代の流れに逆行しているとは分かっていても己の信じたものを貫いた人物を掘り出し、ここまでイメージを覆した筆者の視点に驚かされました。美化しすぎている部分もあるでしょうが、歴史的な人物の真の評価は難しいもので、新たな視点が増えるという意味で新鮮です。
秦末からの楚漢戦争に活躍した人物を取り上げた短編集です。それぞれバラバラに人物を紹介しているようで、1冊を前から順番に読んでいくと秦の滅亡から漢が興り基礎を固めるまでの大枠が理解できるよう書かれています。ただ、項羽と劉邦に関する知識もなく読むのは少し難しいかもしれません。
特に楚漢の両陣営に属していない人物というのはあまり取り上げられないばかりか、歴史の事実は勝者側からの視点で書かれた書物が圧倒的に多く、敗者視点の事跡は歪められたり小さく描かれ埋没していしまいます。ただ、陳余や田横の人物伝を読むと、事跡の断片から時代の流れに逆行しているとは分かっていても己の信じたものを貫いた人物を掘り出し、ここまでイメージを覆した筆者の視点に驚かされました。美化しすぎている部分もあるでしょうが、歴史的な人物の真の評価は難しいもので、新たな視点が増えるという意味で新鮮です。
2013年1月26日土曜日
2013年1月25日金曜日
2013年1月23日水曜日
2013年1月21日月曜日
NHK大河ドラマ 「八重の桜(前半)」
HNK大河ドラマ「八重の桜」
会津藩出身の 山本八重を綾瀬はるかが演じます。前半は兄の山本覚馬(西島秀俊)の活躍のついでに八重の成長が描かれているといった印象はありますが、兄の活躍の場、京都で幕末という時代が成熟されていくようすがよく描かれております。また、その空気が八重の居る会津には届いていないという様子も見て取れて面白いです。
とりあえず、戊辰戦争までは会津がいかにひどい目にあったかということが淡々と描かれている印象ですが、やはり上に立つ殿様が一番悪いのでしょう。上に立つものは、自分の誇りと家臣・領民の命・生活とを天秤に架け政治的判断をすべきであると思いますが、ちょっと自分の誇りにウエイトを置き、家臣・領民は置き去りにされた印象はぬぐいきれません。それにしても、会津は貧乏くじ引かされてますよ。
会津藩出身の 山本八重を綾瀬はるかが演じます。前半は兄の山本覚馬(西島秀俊)の活躍のついでに八重の成長が描かれているといった印象はありますが、兄の活躍の場、京都で幕末という時代が成熟されていくようすがよく描かれております。また、その空気が八重の居る会津には届いていないという様子も見て取れて面白いです。
とりあえず、戊辰戦争までは会津がいかにひどい目にあったかということが淡々と描かれている印象ですが、やはり上に立つ殿様が一番悪いのでしょう。上に立つものは、自分の誇りと家臣・領民の命・生活とを天秤に架け政治的判断をすべきであると思いますが、ちょっと自分の誇りにウエイトを置き、家臣・領民は置き去りにされた印象はぬぐいきれません。それにしても、会津は貧乏くじ引かされてますよ。
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